思いやり

相手の気持ちになって考えて・・・と、言われても、実際は考え方は様々で、いくら真剣に時間をかけて考えたからといってわかるはずがないので、いっそ考えないことにしようと決めたのは、もうずいぶん前のこと。いつからかと思い出すのに、きっときっかけの1つであったろう出来事がうかぶ。


まだ小学生の頃。20年以上前だと思う。母親は専業主婦だったし、時代も時代だし、なんの疑問もなく父親が一番偉い人で、何においても優先しなければいけないと当たり前のように過ごしていた頃。
夕食の準備を手伝っていて、ご飯を、まず自分の、そして妹たちや母親の、最後に父親の、という順番で装っていると、母親に「お父さんが一番先でしょう!」と、ひどく叱られた。すごくびっくりした。日ごろから多少、反発的だったかもしれないけど、父親のことは尊敬していたから、ウチもお父さんが一番だと思っていた。
だから、自分のが一番先、父親のを一番最後にした。考えて。あえて。
いつも必ずみんなそろって「いただきます」をするから、一番最後に装ったほうが一番あたたかいご飯が食べられると思ったから。
そして、その考えを母親に伝えると、ごめんね、と言って泣き出してしまった。


その時から、というわけではない。よくある話だけど「あなたのため」と言われて嫌だったことも沢山あったし、喜ばせようと思ってもうまくいかないことは、数え切れないほどあった。
で、それなら、もう深く考えずしたいようにしたほうがよっぽどいいという考えにまとまっていった。考えに考えたあげく、相手に合わせようと、自分が思っているのと逆の行動をして迷惑がられたのではバカバカしいばっかりだし。自分が一番あたたかいご飯を食べられるようにすれば、まわりとうまくいくならそれに越したことはない。かも。