ユウとトラとミーちゃんの話

てるおさんが昔いっしょに暮らしていたミーちゃんは、ご近所の小学生から「今日ミーちゃん貸してください!」と、申し込まれるほど、どこへいっても良い子で可愛くて賢い人気者ネコちゃんでした。
交通事故にあってしまい、ウチが初めて会ったときには、すでに顔はひどい傷になっていました。目はほとんど見えていなかったらしい。でも、本当に、かわいいの。あれは、不思議な感覚でした。小学生なんて特に、怖がってしまうかと思うほどの傷なのに、かわいらしさのほうが強く伝わるというか。
優しい子だったんだと思う。それが伝わってくるのです。てるおさんは、ミーちゃんが大好きで、ミーちゃんもてるおさんが大好きで、きっとウチは、ライバル視されていただろうな。それでも、初めてあった日から、おひざでコロンと丸くなってくれました。
お母さんのことも大好きで、いつもお母さんの肩の上に乗って、いっしょにドライブに行ってました。
そういえば、てるおさんの姉ちゃんには、結婚して1ヵ月後くらいに初めて会ったのだけど、その時に、お母さんとまったく同じようにミーちゃんを肩に乗せてて、そっくりすぎて大笑いしたなー。なつかしい。もちろん、姉ちゃんも大好き。
もちろん、お父さんも大好き。お父さんが、帰ってくるのを音で察知して、いつも必ずお出迎えをしてくれていたというのが、お父さんの自慢。
毎年、お盆には、あの屋根なしの船で海を渡って、島にいるじいちゃんとばあちゃんのところへもいっしょにいっていたんだって。じいちゃんもばあちゃんもミーちゃんが大好き。
みんなに愛されて、大切に大切に育てられて、人間好きな優しいミーちゃんになったんだろうな。


トラは、小さい頃に、工場暮らしだったとき、動物嫌いの人にいじめられたことがあったみたい。うちでいっしょに暮らすようになってからは、ウチとてるおさん以外の人間にほとんど会わないから、うちら以外は、怖いままなのかな。
ユウは、まだ生後2ヶ月くらいの頃か、もしかしたらそれよりも前から、ママと離れてノラをやってたんだと思う。大きな声でないて、人なつこくアピールをして、やっとやっと生きてたんだ。
もう大丈夫。大丈夫よ。と、伝えたい。
毎日、安心して暮らす姿を、ずっとずっと見ていたい。