くもり

暗くて寒い日。なにもやる気がしない。お団子たちも、寝てばかり。こんな日は、はりきらないに限る。「いいなあ、専業主婦は。楽しそうで」と、言われる。楽しいよ。いいだろ。やーい、やーい。なんとなく意地悪な気持ちになった。専業主婦のくせに、なんの不満があるんだ? などと言われるよりはましだけど。まあ、たいした不満もないけれど。内へ内へと進んでいく新しい生活は、案外と奥が深く確かに楽しい。チミもそのおかげで、6年目も終わりにして初めて愛妻の手作り肉じゃがを口にすることもできたんだし、いいじゃあないか。今晩は、ボンゴレビアンコにするぞなもし。パスタを買って帰るがよかろう。
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なんとか手料理を続けていけているのは、こわくてというか、なんとなく気持ち悪く感じるようになってしまってお惣菜が食べられないことが大きな要因を占めているけど、もうひとつある。料理を作るときに、レシピを見ないことにした。お料理番組を見ても、メモらない。「教える」仕事をしてみて学んだことは、「解説書は、読む回数が少なければ少ないほど良い」ということ。苦手なことなら尚更。1度目に読むときに、想像力をフル活用して、なぜこの手順で、なぜこのタイミングで、この作業を、この方法でするのかをじっくり考えながら読むと、脳みそのしわの奥のほう(イメージ)に記憶がちゃんと刻まれる気がする。そして、実際に作成するときにしっかりと思い出しながら作業をすることで、記憶が定着する。その原理を使うと、料理をしている時間が、今まで、レシピを見ながら作っていたときよりも大幅に短くなる。さらに、それは、作るたびに縮められる。料理が嫌いだった理由のひとつに、食事時間よりも料理時間のほうが長いことがあった。3分で食べ終わるものなら、3分以内に作り終えたい。そうでなくては、悔しい。性格が歪んでいると責める前に、いいから、よく噛んで食いたまえ。