たまちゃん

電磁波シールドエプロンを注文した。電磁波を97%以上カットしてくれるらしい。よしよし。
とりあえず、今は、大きなクッションを抱えてこれを書いている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おなかの赤ちゃんは、しばらく「たまちゃん」と呼ばれることになった。もう、何年も前から名前は決まっているのだけど、男の子か女の子かわかるまでは、「たまちゃん」で。
実家で話したら「ネコ?」と言われたけど、イメージは「タマ」ではなく「たま」。白玉一族の「たま」であり、玉のような――の「たま」であり、まだまだたまごの「たま」という由来。まぁるい感じ。
そうしたら、メールでお祝いの言葉をくれた友人が「6月生まれだと……誕生石は真っ白な真珠だね」と教えてくれた。本当だ! もう、完全に「たまちゃん」だ。やっぱり白玉一族だったんだ。すげー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仕事、昨日で辞めてきた。
筋腫ちゃんの存在がわかった時点で社長に電話して、無理を言って急いで後任を手配してもらい、昨日バタバタと引継ぎをして半日で帰らせてもらった。まだ、約1ヶ月残っていたから、クラスの皆さんには本当に申し訳ないし、未練というかなんというか、後ろ髪を引かれる思いではあったけど、たまちゃんが最優先。迷いはなかった。
わけを話したら、クラス中の雰囲気が一瞬ショボーンとなってしまったけど、みんな「がんばって」「大丈夫」「これまでありがとう」と言ってくれた。長居をすると泣いてしまいそうだったので、あえてご挨拶は短めにして、笑顔でお別れをした。本当に、ありがとうございました。
赤ちゃんだけなら、出産直前まで続けるつもりで仕事をしてきた。けど、実際は、筋腫ちゃんのせいかどうか、自分でもわからない。電磁波が飛び交うなかで、1日中バタバタと走り回り、家に帰っても仕事のことが頭から離れず、いろいろな感情を抑えて、いつも笑顔で・頼りがいのある存在であり続けようと張り切っている状態というのは、自己満足という形ではうまく処理できていても、赤ちゃんへの影響を考えれば、良いとは言えないような気もする。
すべてが、まぁるくおさまるように、組み込まれていることなのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不安感は、本当にほとんどなくなってきた。チヨドリは、なんにも不安がらず、ただただ巣でたまごをあたためてさえいれば、おとうさん鳥が、何から何までぜんぶやってくれるらしい。仕事は辞めたわけじゃなく、転職したと思え、と。ただただひたすらにたまちゃんを守るのが、それがチミの仕事なのだ、と。がんばるス。
そのまま一生専業主婦でいようかなんて考えてもいる。料理の勉強して、それにせっかく広いベランダがあるんだから家庭菜園なんかもやってみたくなってきた。大根もにんじんもかぼちゃもきゅうりもトマトも、全部うちでつくったものを食べさせてあげたい。と、話したら、てるおさん大爆笑していた。ぃゃ、ぜんぜん笑うところじゃないよ。
しかし、たしかに考えられないことだ。想像力なんて、たかが知れていると思った。出産直前まで働いて、産んだらすぐに復帰して、親なんていなくても子供は育つんだから……なんて考えていたけれど、とんでもない。
必死になって無理してあきらめていたのだと気付く。今のままが気楽でいいよ、子供なんかいたら大変だよー、こんな世の中でさ、今の時代に生むほうがかわいそうだよね、なんて話していた。不器用で、スイッチの切り替えが簡単にはできないほうだから、引き続き「かわいそう……」と嘆いていたら、「大丈夫! 世の中まだまだ捨てたもんじゃないって!!」と言われた。てるおさん、YOUを信じるよ。よろしく頼む。