それから
九州から、何度か遊びにも来てくれた。
電話も、ときどきくれて、いろんなことを話した。
「ホストは、会話が命。だから、新聞も何種類もとってる。毎日が勉強よ」って、いろんなことを教えてくれた。
わたしの知らないこと、難しい話も、たくさん知ってた。
ずいぶん大人に感じた。
ずっと、彼は、ずっとずっと大人だった。中1のころからずっと。
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21歳のとき、独り暮らしをし始めてから、連絡がとれなくなってしまった。
母さんから、電話があったことを聞いて、こちらからかけてみたけど、もう番号が変わってた。
すごく後悔した。
もう、一生、彼と連絡がとれないと思ったら、悲しくてしかたがなかった。
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24歳のとき、九州に旅行に行った。
わたしにとって、九州といえば、彼。
わけもなく、奇跡的なことが起きそうな予感がして、すごくドキドキしてた。
もしかして、ばったり再会しちゃったり……! なんて、期待していたけど、そんなはずもなく、ただの楽しい旅行に終わった。
その数日後、職場にある女性のお客様が来た。
書類に記入してもらうことがあり、内容を確認していて、びっくりしすぎて泣きそうになった。
『連絡先』の欄に書かれていたのは、彼のお母さんの名前。
その女性は、なんと彼の叔母さんだった。
思わず中学のころのことを話すと、今は、結婚して幸せにしていると教えてくれた。
心の底から嬉しかった。
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中1のあの日から、たぶんずっと悔やんでた。
助けられなかったこと。
わたしは、彼を助けることができなかった。
でも、それは、彼の選んだ道だったし、わたしもわたしの道を進むことしかできなかった。これからも、ずっとそう。
間違いはない。
ただ、学びはある。
彼とのことを振り返ってみて、今更ながら気付いたのは、自分には嘘つけないってこと。
彼が大好きだったのに、回りの雑音に惑わされて……ってのも言い訳だな、寂しさに耐えられなくて、助けられなかった罪悪感に押し潰されそうで、誰にも理解されなくて辛くて、傷つくのが怖くて、忘れたふりをしていたから、摩擦が起きてたんだ。
罰を与えてたのは、自分自身でしかない。
今、このタイミングで、それをこんなに鮮明に思い出したのは、このながーーーい時間をかけたからこそわかるメッセージだからだ。
涙が止まらない。
昨日、再びわたしの目の前に現れてくれた言葉があった。
『最も大切なことは、最も大切なことを最も大切にすることだ』
尊敬するスティーブン・R・コビー氏の言葉。
初めて知ったのは、もう13年も前だけど、こんなに胸の奥深くまでしみる感覚がするのは、今このタイミングだからとしか言いようがない。
そういうことってあるんだなぁ、本当に。
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長らくお付き合いくださった方が、どれだけいるかはわからないけど、もしいるなら、本当にお疲れ様でした。
それに、ありがとう。
本当に、有り難いです。