だめかと思った

久しぶりに一緒に風呂でも入るかということになり、寒くなってきたので、ちゃんと湯船にお湯を張って、二人で入ることにした。暖かいうちは、シャワーで済ませていたけど、やっぱり湯船につかるっていいねえなんてしっかりくつろぐ。いつもは、お団子たちがドアにびったりくっついて、なんだかんだと声をかけてくるのだけど、お湯を張っているときは危ないから、脱衣所のところから扉を閉めておく。さみしがっているかなぁなどと気にはなるものの、のぼせ気味のてるおさんを待たせながらも、ゆったりと幸せを満喫していると、一足先にあがったてるおさんが、おかしなことを言った。「ちよ……閉じ込められた」あはは。なにそれ? と、出てみると、脱衣所の扉を本気でガタガタと揺らしていた。
あ。
思い出してしまった。モップ。立てかけてた。つい。
(こうなっている)
ごめん……。どうしよう。ケータイ? ないよ。てゆか、誰もうちの合鍵なんか持ってないし。
危機管理能力というか、危険予測能力というか、そういうものが著しく欠けている気がする。それに、また、気付かされて、激しく落ち込む。つい、なんだよ、つい。うっかりが多すぎる。で、そんな妻だと知りながら、そのついを、つい見逃すのがてるおさんで、二人で危機に陥る。いや、ワタシがわるいんですよ、ワタシがね。あーあ、でも、こうなってしまったものはしかたがないし、謝ったって、文句言ったって、助からないし、どうするんだろう。どうなるんだろう。
と、一人あわあわなっていたら、ゴンゴンゴンッと力ずくで開けてくれ、「おれがおらん時に、ひとりで風呂に入らんでくれ」と言われて、ゲームセット。
母として、やっていけるのでしょうか……。